ハゲに関する要因については様々なことが取り上げられていますが、かなりの確率で信頼できるものと、いわゆるあまり信憑性のないものまでいろいろあります。近年では睡眠とハゲることは無関係と言われていますが、異論があるのも事実です。
そこで、睡眠とハゲは本当に無関係なのか、その真相に迫ってみましょう。
睡眠がもたらす力
睡眠不足が続いたり質の良い睡眠がとれなくなると、体力や気力が落ちていきます。体力が落ちることによって、人間の体に備わっている免疫細胞も活性化しなくなり、風邪をひきやすくなったり病気を引き起こす原因にも繋がります。
また睡眠中には体の弱っている部分を修復する力があり、体の一部である頭皮も傷みがあれば寝ている間に修復が行われます。ところがその修復にかける睡眠時間が少ないと、十分な修復を行うことができません。
顔や身体には、紫外線からのダメージをブロックするために日焼け止めを塗ったり、肌を保護するUVカットの洋服を着たりしますが、頭皮への紫外線対策は意外に盲点となっているのです。
日傘で太陽の光を遮るのは主に顔の日焼けを防止するためで、帽子をかぶるのは直射日光を遮ったり、熱中症にかからなくすることを目的とします。
帽子をかぶれば熱気や汗によって頭皮がダメージを受けますし、日傘もささず帽子もかぶらなければ、紫外線を直に受けてしまいます。
頭皮は、シャンプーをする際にも爪をたててごしごしと洗えばすぐに傷みますし、強すぎれば傷がつくこともある大変デリケートな部分です。
手荒な洗髪では髪も抜けますし、この状態がずっと続けばいつか薄毛からハゲに繋がることは想像に難くありません。しかし頭皮へのUVケアを行い、しっかりと良質の睡眠をとることで、頭皮の傷みは修復されていきます。
修復時間が短くなると、頭皮を修復する際に必要な成長ホルモンが分泌されにくくなり、修復不足になってしまいます。結果として修復されないまま、ダメージを抱えた頭皮にさらなるダメージが加わる悪循環に陥るのです。
睡眠は頭皮や髪全体の健康を促してくれますので、睡眠が足りなくなると頭皮の健康が損なわれてしまい、その結果ハゲに繋がると考えられます。
ハゲは遺伝するという根拠の実態
男性の中では特に自身の父親がハゲている場合、将来自分もハゲるのではと気にしている人も多いでしょう。親子は顔の形や体の特徴が似ますので、その可能性は十分考えられますが、必ずそうなるとも言い切れません。とはいうものの、ハゲと遺伝には深い関係があることは紛れもない事実です。
ハゲに繋がるAGA(男性型脱毛症)と呼ばれる薄毛の場合は、遺伝する確率が25%程度あるとの報告がされています。
これは4人に1人の割合でハゲが遺伝する確率になるのですが、これは「ハゲる可能性」が遺伝する確率にすぎません。ハゲる可能性があるだけで、必ずハゲになるわけではなく、原因が遺伝ではないケースも十分考えられるのです。AGAによる薄毛やハゲは、男性ホルモンが大きく関係し影響を及ぼしていると言われています。
男性のヘアサイクルは、テストステロンと呼ばれる男性ホルモンの一種が、5αリダクターゼという変換酵素の働きでDHT(ジヒドロテストステロン)という物質へと変化します。
DHTは、ヘアサイクルの成長期を短くする因子を増加させる作用を持っているため、ヘアサイクルの短期を進ませる要因となるのです。その結果、しっかりと育ちきれない短い毛や細い毛が多くなり、抜け毛も増えていってしまいます。
遺伝に関係している5αリダクターゼは、遺伝によって分泌量が異なることが分かっています。遺伝によってハゲになる場合、この5αリダクターゼの分泌量が影響していると考えられるのです。5αリダクターゼは額の生え際やつむじ辺りに多く、AGAになると生え際や頭頂部周辺から薄毛になるのはそのためです。
このように見ていくと、ハゲは必ずしも遺伝が原因になるとは断言しにくいと言えます。たとえばハゲの症状の一つに円形脱毛症がありますが、これは遺伝ではなく自己免疫疾患の一つです。自己免疫疾患は、本来自分の体を守るために存在する自己免疫が、自らの髪の毛を成長させる毛包を破壊することで起こります。それによって髪の毛の成長が止まってしまい、ハゲができてしまうのです。
円形脱毛は急激なストレスがかかると起こりやすく、10円玉ハゲができると急性ストレスによる円形脱毛症と診断され、さらにその状態に睡眠不足が加わると、さらなる症状の悪化を招くことになります。このことからも睡眠が髪の健康に深く関与していることを、容易に理解することができるのです。
睡眠とハゲに関係性はないと一部で言われていますが、こうして見てみるとむしろ睡眠が髪に与える影響はかなり大きいと考えていいでしょう。
睡眠不足が積み重なった結果、大切な髪の毛を失っているとしたら、薄毛で悩む人にとって大きな改善点の発見となるに違いありません。今夜からしっかりと睡眠時間が確保できるよう、時間のやりくりを心がけてみてはいかがでしょうか。
